2023年10月25日
「ハタヨガ」は、肉体的なアーサナ(ポーズ)と呼吸法に重点を置いたヨガの流派です。
ポーズをとりながら正しい呼吸法を行うことで、心をリラックスさせ、精神面のバランスをコントロールして整えることを目的としています。
現代に受け継がれているヨガの流派は、10世紀から13世紀に起源を持つとされるハタヨガから派生しているものがほとんどです。
ヨガを基本から理解して身に付けたいと考える方は、ハタヨガから習得していくといいでしょう。
目次
ハタヨガは、サンスクリット語で「ハ(ha)=太陽」と「タ(tha)=月」、そして「ヨガ(=結ぶ)」という語源から成り立ちます。
太陽と月、陽と陰、精神性と生命力のように、対として存在するもの同士を結び付け、調和させることを目的とします。
この陰と陽が織り成す「体内エネルギー」を重視することにおいて、ハタヨガにはヨガ全般に通じる部分があります。調和は、力強い動きの「ハ」と、静穏の「タ」によってもたらされると考えられ、心と体の原動力である「気」を重視しながら「ハ=吸う息」と、「タ=吐く息」の2つをコントロールすることによって、対になる存在を調和させることができるというものです。
また、ハタヨガはポーズや呼吸法が心や体を動かす原動力であるという考えのもとに誕生したヨガであり、ポーズと呼吸法に重点を置くことで、集中力や自己の内面への意識を高めることができると考えられています。
ハタヨガは、基本となるポーズと呼吸法を通して、精神の安定や集中力の向上、自己の内面への意識を高めることができます。そして、精神面の安定をもたらすために、深い腹式呼吸法を推奨しています。腹式呼吸には、息を吐く際に副交感神経が刺激されるという効果がありますので、これによりリラックス効果がもたらされるのです。
ハタヨガは、自分の体と心に向き合い、ストレスによる自律神経の乱れやバランスを整えることを重視します。そのため、精神的なストレスの緩和やうつ病にも効果があるといわれています。また、ポーズは体全体を使い、日常生活であまり使わない筋肉も活用するため、体の柔軟性向上も期待できます。
ハタヨガのポーズにおける基本として、バンダ(=締め付け)という技法があります。
バンダは、喉・腹部・肛門などの引き締めを行うものですが、中でもウディヤーナ(ウディヤナ・バンダ)という技法は、腹部(=ウディヤナ)を引き締めるものです。交感神経を正常に整え、姿勢の改善によるスタイルアップやダイエット効果など、身体的な変化にも効果が期待できます。
このように、ハタヨガのポーズと呼吸法が心身のバランスを整え、健康的な肉体づくりに役立つでしょう。
ヨガは、肉体的な要素を重視する「ハタヨガ」と、精神的な要素(瞑想)を重視する「ラージャ・ヨガ」という、大きく2つの流派から派生しています。ハタヨガは身体的な修養を軸としており、現代ヨガのポーズの多くは、ハタヨガにルーツを持っています。
代表的なハタヨガのポーズとして、「ねじりのポーズ」があります。
ねじりのポーズには、内臓の不調のほか、軽い便秘や背中の疲れを緩和する作用があり、お腹周りの引き締めや腰痛の改善、美肌効果も期待できます。
また、ストレスの緩和やリラックス効果が期待できるポーズとして、「子供のポーズ」があります。
このポーズには、疲労回復やストレスの緩和、リラックス効果のほかに、身体的な効果として軽い腰痛や便秘解消に効く作用があります。
このように、活発な動きや運動量を必要とせず、ポーズと呼吸法に重点を置くことで、誰でも簡単に取り組めるのがハタヨガの魅力です。
ハタヨガの起源は諸説ありますが、10世紀から13世紀頃にヒンドゥー教の聖者であるゴーラクシャ・ナータによって広まったという説や、インドの密教徒たちにより始められたという説があります。
元々は瞑想によって心を無にすることを目指した内容だったものを、一般人でも難なく取り組めるようにと、ポーズと呼吸を組み合わせ、ヨガとして考案したともいわれています。
現在、ハタヨガの多くはポーズを活用したエクササイズとして親しまれていますが、古代のハタヨガはポーズと呼吸法に加え、お経(マントラ)を唱えるものだったようです。
また、ハタヨガには「ゲーランダ・サンヒター」「ハタ・ヨガ・プラディーピカ」「シヴァ・サンヒター」という、三大教本があります。これらの教本には、人体に存在する根源的生命エネルギーの覚醒方法、呼吸をコントロールすることで意識を落ち着かせる方法のほか、修行や瞑想による効果や思想が記載されています。
このハタヨガの伝統を受け継ぎ、「アイアンガーヨガ」や「パワーヨガ」「アシュタンガヨガ」などの流派が派生しました。
ハタヨガは、さまざまなヨガ流派の基本となるポーズと呼吸法を身に付けることができるため、ヨガの基本を学びたいと考える方におすすめです。比較的激しい動きを必要としないことから、ヨガ初心者の方にも親しみやすいヨガといえます。
自分のペースで行うことができるので、年齢や体調、体の柔軟性を問わず、幅広い層の方が健康促進のためのエクササイズとして取り入れることができます。一つひとつの動きを丁寧に、呼吸法を重視して行うと良いでしょう。
ハタヨガは、現代に派生している多くのヨガの元祖と呼べる存在です。
現代のヨガは、いずれもハタヨガの要素であるポーズを取り入れていることから、類似のヨガといえます。代表的なヨガの種類としては、一つひとつのポーズに時間をかける「アイアンガーヨガ」や、激しい動きを要する「アシュタンガヨガ」、古典的なポーズを日本人の骨格に合わせてアレンジした「インテグラルヨガ」などが挙げられます。
さらに、アンシュタンガヨガをベースとする「パワーヨガ」は、ポーズの自由度が高く、運動量の多い流派です。さらに、高温多湿なスタジオでハタヨガのポーズを行う「ホットヨガ」も、その流れを汲むヨガの種類として挙げられます。
このように、一口にハタヨガといっても、ポーズをキープする時間の長さ、動きの激しさや運動量、それに伴う呼吸法によって難度が細かく分かれています。最初から難度の高いヨガの種類に挑戦するよりも、自分の体調や経験に合ったヨガを選択すると良いでしょう。
ハタヨガのポーズと呼吸法という概念によって、ヨガはエクササイズとして一般的に広がるようになりました。
現代ヨガの起源であるハタヨガを知ることで、さらに難度の高いヨガを習得するための基盤の形成ができます。今後、ヨガを極めていきたい方や、日々の健康習慣を見直したいと考えている方は、ハタヨガからスタートしてみてはいかがでしょうか。
ハタヨガによって体と心のバランスを整え、体の内側から健康を手に入れましょう。
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